初期研修医インタビュー

社会医療法人 親仁会

米の山病院

福岡県大牟田市歴木4-10

名前 副島 忠弘 先生
出身地 福岡県北九州市
出身大学 九州大学
医師免許取得年度 2016

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

2段階あります。最初は1歳のときに母をがんで亡くしたことです。母のように若くして亡くなる人を減らしていきたいと思いました。次は30歳の頃に父が脳梗塞で倒れたんです。父の看病をしながらターミナルケアに興味を覚え、終末期医療に倫理的な側面も含めて取り組んでいきたいと、医師を目指しました。

学生生活ではどんなことが思い出に残っていますか。

割と真面目に過ごしていました。九州大学には世界的に活躍されている先生方が多く、一流の医師の講義で最先端の医療に触れられたことは面白かったですね。臨床実習でも臨床の第一線で活躍している先生方にかわいがっていただきました。同級生は同年代ではありませんが、飲み会でどんちゃん騒ぎをしたことも思い出に残っています(笑)。

大学卒業後、大学病院ではなく、研修先を米の山病院に決めた理由をお聞かせください。

大学病院にいらっしゃる患者さんは100%、紹介の患者さんですし、内容も専門分化され過ぎています。その道を10年、20年かけてステップアップするのも魅力的ですが、私は30歳を超えており、早く臨床の場に出たかったので、市中病院を選びました。米の山病院に決めたのは従兄が「家庭的な研修ができる病院だ」と勧めてくれたのがきっかけです。

米の山病院に見学に来られたときの印象はいかがでしたか。

低学年の頃から奨学金のことで来ていた病院で、顔見知りの先生方が多く、「よく来たね」と歓迎していただきました。でも、真剣勝負で命のやり取りをされている先生方を怖く感じたりもしましたね。大学病院の先生方は多くの患者さんを持っていらっしゃるわけではないので話しかけやすいのですが、米の山病院は忙しいというイメージがあり、先生方に声をかけてもいいのかなと迷ったりしていました。

米の山病院での初期研修はイメージ通りですか。

イメージよりも忙しいです。夜遅くまで残ることもありますし、理論的に詰められることもあります。総合診療の病院だと知ってはいましたが、循環器科を回っているときも脳出血、肺炎、尿路結石などを診ることもあり、こんなに何でも診るんだということもイメージ以上でしたね。でも、全身に目を配ることができる意味では勉強になります。また、指導医の先生方のみならず、看護師さん、放射線技師さん、臨床検査技師さんから学ぶ機会が豊富なことも良かったです。

プログラムの自由度はいかがですか。

追加していくものについては自由度が高いです。エコーの研修がしたいときは臨床検査技師さんに、読影を習いたいときは放射線技師さんになど、週に1コマぐらいの研修を組んでいただけます。CVなどの手技に関してもほかの科から回ってくることもありますし、看護師さんが採血を回してくれることもあります。ただ、苦しいときは減らしていただけます(笑)。

1年目はどういった診療科をローテートされていますか。

内科が9カ月で、内訳は呼吸器、循環器、消化器が3カ月ずつとなっています。それから消化器外科が2カ月、整形外科が1カ月です。私は今、整形外科を回っています。

院外での研修はありますか。

2年目はかなりの期間を院外で過ごします。精神科、産婦人科、小児科、ERの研修が院外ですね。また、患者さんの会である「友の会」での研修もありますし、関連病院での勉強会では学会発表のための訓練を受けています。

どのような姿勢で初期研修に取り組んでいらっしゃいますか。

患者さんに診療を受けて良かったと思っていただけることを一番大事にしています。薬の処方などの治療面ではまだ貢献できないので、治療方針を丁寧に伝えたり、日頃の会話では明るく笑顔で接することを心がけています。

指導医の先生のご指導はいかがでしょうか。

面倒見が良く、診療後の時間をさいて丁寧に教えてくださいますし、質問にも嫌な顔をすることなく、答えていただいています。一方で、「自分で考えろ」と言われるなど、厳しい面もありますよ。「何を根拠に判断したのか」などをすごく詰められますね。考え過ぎて、答えに詰まることもあります(笑)。

米の山病院での初期研修で勉強になっていることはどんなことでしょう。

高齢者医療です。認知症には多段階があり、身動きできない患者さんもいらっしゃいます。話せない患者さんから治療に結びつけられるような身体情報をどのように手に入れるのかを勉強しているところです。当院は大牟田市と提携して、認知症対策に取り組んでいますし、私も総合診療を目指す以上は徘徊しても安全な街といった街づくりにも携わっていきたいです。

何か失敗談はありますか。

当直は病棟からのコールがファーストになります。その指示に対して、どこまで一人でするのか分からないことがあります。湿布を出すぐらいでしたら、指導医の先生をわざわざお連れするのは気が引けるし、その境界線が曖昧なんです。それで「何で連絡してこなかったんだ」と言われたことが何回かありますね。看護師さんからも「指導医の先生にOKをもらいましたか」と聞かれることがあり、急遽、連絡を取ることもあります。私は指導医の先生に見られているとパフォーマンスが下がるタイプです(笑)。手技などはいいのですが、医療面接では指導医の先生を満足させるために、どのような質問をしないといけないのかと考えてしまいます。頭から順番に聞いていく先生もいれば、主訴を中心に聞いていく先生もいらっしゃいますから、今でも緊張します。

当直の体制について、お聞かせください。

必ず指導医と1対1のマンツーマン体制で、病棟と救急車対応を行います。初期研修医がファーストタッチして、指導医のチェックを受けます。初期研修医の手に負えない場合は指導医の先生の診察や手技を見学するのですが、このシステムはとてもいいですね。救急車は一晩に1台か2台、多いときで4台ぐらいで、当直の回数は週に1回、月に3回から4回です。当直の次の日は午後を休めます。

当直では、どんなことが勉強になっていますか。

初期対応です。病棟の患者さんには既に診断がついていますので、その診断に引きずられてしまい、ほかの可能性を見落としてしまうことがありますが、当直でこの患者さんをどうするのかを考えるのは楽しいです。救急車の患者さんがいらっしゃったら、入院1、2日目までの処置や方針、点滴や食事のオーダーなどを決めることも勉強になります。

カンファレンスの雰囲気はいかがですか。

週に1回ありますが、ぴりぴりした雰囲気です。プロブレムリストが10項目ぐらいある、高齢の患者さんが多いので、一つ一つに考察漏れがあると袋叩きに遭います(笑)。そうなると、1週間をどんよりとした気分で過ごしてしまいますが、何もないと調子よく過ごせます。一方で、教育用のカンファレンスは和やかです。初期研修医に「あなたはどう考えますか」とクイズのように質問が出されます。

コメディカルの方たちとのコミュニケーションはいかがですか。

薬のことを薬剤師さんに尋ねたり、画像所見の見方などを放射線技師さんに習ったりしていますし、コミュニケーションはかなりいいですね。これは当院を選んで良かったと感じている点の一つでもあります。コメディカルスタッフは初期研修医を皆、知っていますし、食事会、飲み会、院内のイベントなども一緒に楽しんでいます。

研修医同士のコミュニケーションは活発ですか。

活発です。同期3人がばらばらの科を回っていますが、病院自体が総合診療をしていますので、診療科をまたがる患者さんが多く、同期とはばらばらの科を回っていても、似たような患者さんを持つこともあります。2年目の初期研修医がいないこともあり、指導医の先生についての話や自分の失敗談、「この科はどうだった」、「当直はどうだった」といった情報交換が今後の研修に有益になりますね。外部の研修に一緒に行ったり、休日に一緒に遊ぶこともあります。将来のこともよく話しますが、10年後や20年後といった遠い将来の話はしないですね(笑)。

今後のご予定をお聞かせください。

後期研修も米の山病院で行う予定です。後期研修では各内科を回ったり、ICUや人工透析などの初期研修で経験していないことも学んだうえで、循環器の専門医を目指します。総合診療をする以上は避けて通れない科はもちろんですが、耳鼻咽喉科や眼科といったマイナー科にも興味があります。機会があれば大学にも戻ってみたいですが、最終的にはターミナルケアといった終末期医療に専門的に携わっていきたいと考えています。

寮にお住まいですか。

借り上げのアパートに住んでいます。建て付けも良く、間取りが3LDKですので、広さは十分です。

ご趣味など、プライベートの過ごし方について教えてください。

趣味は今はないですね。休日は勉強をすることもありますが、妻と過ごすことが多いです。二人とも福岡市に縁があるので、新幹線で出かけて、買い物をしたり、それぞれの思い出の地を訪れたりしています。

現在の臨床研修制度に関して、ご意見をお願いします。

色々なことをするのが大変で、一つ一つを深めることが難しいです。手技や症例の件数や幅の広さも求められていますし、研究もあります。医療面接にしても、あれもこれもと聞かなくてはいけないことが多くて、苦労しています。カルテなどの書類仕事も挙げられます。これからの医療に必要なことだと理解はしていますが、最初は簡略化しておいて、徐々に幅を広げていくわけにはいかないのでしょうか。また、内服薬の指示も指導医のチェックがいるので、朝に出したいと思っていても、実際に出せるのは夕方か次の日になってしまうこともあるんです。必要なプロセスではありますが、時間がかかるのは問題ですね。

新専門医制度についてのお考えをお聞かせください。

大学に戻らないと専門医になれないというシステムにはしてほしくありません。市中病院では滅多に診ることのない血液疾患や膠原病などの症例が必要だと大学病院に行く必要があります。臨床研究も困りますね。市中病院はどうしても症例研究になります。エビデンスレベルの高い研究や遺伝子をコントロールされたマウスでの研究などは市中病院では難しいです。若ければ5年から10年を大学で過ごすのもいいかもしれませんが、私は年齢が上なので余裕がありません。

最後に、これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

私は大学病院と臨床研修病院の中では小規模とも言える米の山病院とで迷いました。大学病院で専門分化した内容を少しずつステップアップしていくことも魅力的でしたが、小さい病院には別の良さがあります。皆が知り合いでコミュニケーションが行き届きますし、どこで何をしているのかといった、細かいところが見えますので全体像が分かりやすくなるんですね。お互いに協力し合えるチーム医療を行っていきたい人には最適な環境です。見学では指導医の先生方ともお話しできます。緊張感がある場面は別ですが、米の山病院の指導医の先生方は普段はとても優しいですよ。声をかけても嫌な顔をされません。緊張感のある先生方からの指導も穏やかな先生方からの指導も両方が勉強になっています。初期研修医が勝手に進めてしまうと大きな失敗に繋がりかねないので、指導医の先生方とコミュニケーションを取りやすい病院を選びましょう。