後期研修医インタビュー

医療法人社団洛和会

洛和会音羽病院

京都府京都市山科区音羽珍事町2

名前 吉田常恭(よしだつねやす)研修医
出身地 東京都板橋区
出身大学 日本医科大学
医師免許取得年度 2013年

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

祖父母や両親とも教職員家系で、親が忙しいときに面倒を見てくれていたおばあちゃんがいました。血の繋がりのない人でしたが、私が小学校低学年のときに亡くなったのです。それが最初に医学を目指したきっかけです。昨日まで一緒に遊んでいたのに、急に亡くなったので「なんでだろう」と考えました。亡くなった理由を自分で理解できなかったので、医学を知ることで、自分の家族や知人を守れるようになりたかったですね。医学的なところはどうしても他人に頼らざるをえないところがあるので、家族に一人ぐらい医師がいればいいなという思いもありました。

学生生活はいかがでしたか。

大学時代はできることは全てやり、自分の人生の中では本当に充実した6年間でした。医師になりたくて、ずっと勉強してきたわけですから、勉強に関してはもちろん力を入れていましたが、オフでも気の合う仲間と遊んだりしていました。4年間ぐらい基礎研究をさせてもらったり、救急サークルでも色々な人と知り合えました。一般の方向けに講演会を開催したり、かなり幅広く活動しました。

武蔵野赤十字病院での初期研修はいかがでしたか。

初期研修の2年間も楽しかったですね。大学でも良い仲間に囲まれて楽しく過ごせましたが、初期研修は初期研修で味が変わった気の合う仲間が全国から集まってきました。10人ではありますが、切磋琢磨しながら過ごせました。私は大学でも頑張った方だと思いますが、やはり学生と医師では大きく違います。初期研修では念願の医師になれたので、より一層頑張ろうという気持ちになりましたし、なるべく多くことを経験しようと、当直も自分から率先してやりました。

武蔵野赤十字病院は救急車の搬送も多かったでしょう。

今はどうなのか分からないですが、私がいた頃は初期研修医が初期対応をしていました。勉強したことがマネジメントに直結しますので、勉強したことを実践できる意味では達成感が大きい研修でしたね。指導医体制もしっかりしており、分からないことがあればすぐに聞けます。屋根瓦教育でしたから、指導医だけでなく、研修医の先輩方からも指導法を学んだり、逆に後輩に教えたりと、教育的な研修ができたと思っています。

後期研修先を決められた時期はいつ頃でしたか。

私は他の人と比べるとかなり出遅れていて、夏を過ぎた頃でした。初期研修に力を入れていたぶん、後期研修などの先のことが見えていませんでした。

後期研修先を決めるのに、どのような活動をされたのでしょうか。

私は医師になった頃から総合内科を希望していたので、内科の強い病院を探していました。関東では限界があるのかなと思っていたところ、上司の先生に音羽病院のことを聞きました。音羽病院には武蔵野赤十字病院から移られた知り合いの先生がおられ、その方が「いいよ」とおっしゃっていたので、見学に行くことにしました。

後期研修先を洛和会音羽病院に決められた理由を教えてください。

見学はここしかしていないんです。最初に見学に来たときにつかせていただいた先生の話がとても良くて、共感できました。総合内科全体がフレンドリーで、チームの先生方の雰囲気も良かったです。最後の一押しは帰りに部長先生にお会いして、お人柄に触れたことですね。

総合内科を専攻された理由をお聞かせください。

総合内科の魅力の捉え方は学生の頃と今とでは大きく変わっていますが、総合内科医になって良かったです。医学生は勉強熱心な人が多く、私もその中の一人でしたが、鑑別診断を勉強するのも好きでしたし、勉強したことが鑑別にそのまま繋がったり、勉強をすればするほど鑑別も上がってくるので、自分の知識が患者さんの役に立てればと考え、総合内科を専攻しました。よく分からない病気を当てたり、困っている患者さんや苦しんでいる患者さんの原因を突き詰めたいと思っていました。しかし、実際に総合内科医になると、知識面はもちろん、患者さんやご家族とのコミュニュケーションを大事にしないといけなかったり、高齢社会ゆえに介護との調整など、医療以外の仕事もあります。今は一人の患者さんを医学の面だけではなく、社会的な側面も含めて全面的にサポートすることが総合内科の魅力だと考えています。

洛和会音羽病院の総合内科の特徴を教えてください。

大きな特徴は医師の年齢の層がかなり厚いところと屋根瓦式が徹底しているところです。私は卒後5年目ですが、一応グループのリーダー的な役割です。私の下にもう一人いて、その下に初期研修医がつくという形なのですが、上が言ったことが下に繋がるし、私の言うことも上から教わったことなので、教育の層が厚いですね。各科が揃った総合病院の中では総合内科は根づかないと言われていますが、当院の場合は専門の先生方とうまく協力できているので、一緒に治療ができる点で、この病院での総合内科の役割はかなり大きいのではないでしょうか。

後期研修で一番勉強になっているのはどんなことですか。

毎日、勉強になります(笑)。高齢社会ですから「総合内科って、誤嚥性肺炎とか、色々な感染症でしょ」と言われますが、誰一人として同じ患者さんはいません。同じ誤嚥性肺炎でも理由や併存疾患、感染している菌が全く違います。同じ疾患でも勉強することが多くありますが、一番勉強になることを一つには決められないですね。日々、勉強することがあり過ぎて、溢れているというのが現状です。

後期研修で楽しいことはどういったところですか。

やってきたことが実際に患者さんのためになること、治療だけでなく、患者さんを全人的に支えられているという実感が湧くところです。この地域には昔からの患者さんが多く、当院がかかりつけというケースが少なくありません。一方で、今まで医療機関を全く受診していなかった方がひょんなことで当院にかかり始めることもあります。それらの患者さんのライフスタイルをマネジメントしたり、寄り添っていけるところがとても楽しいです。大きな病院がほかにもあれば違うところにかかることもあるでしょうが、地域の拠点病院ならではの楽しさは患者さんの人生を一貫して診られることです。

後期研修で辛いところはどういったところですか。

かなり忙しいところですね(笑)。医学生や初期研修医は医学だけで良かったのに、後期研修医になると業務外の仕事があります。サボってしまえば楽なんでしょうが、患者さんへの不利益が起こるかもしれませんしね。がん検診をサボればがんになるかもしれないし、高血圧をほかの人に任せておいたら、高血圧が原因となる病気になるかもしれないという可能性があるので、率先して介入していかないといけません。そうすると、フォローする必要がある人も増えますので、介護やご家族との調整など、業務が次々に出てきます。楽しさときつさは表裏一体ですね(笑)。

指導医の先生方のご指導はいかがですか

当院は完全に1対1で指導する屋根瓦式ですが、学年が上がるにつれて自由度が高くなります。一から十まで教えることもなく、自分で考えて動くという面をかなり尊重していますが、困ったときには必ず助けてくれます。自分で考えて、調べても分からないことは酒見先生にでもすぐに聞けます。自分の指導医だけではなく、他科の先生でも同じ様に教えてくださるのがいいところだと思います。総合内科医と専門科医の連携が取れていると実感します。指導医が色々な科にいるという感じです。隔たりがないですね。

初期研修と後期研修との違いはどこにありますか。

この質問には皆が責任感と答えるでしょうね(笑)。もう少し細かく言うと、時間の使い方と視野でしょうか。初期研修は医学生を終えたばかりなので、医学知識で攻めますし、やっていることが「医学」です。でも後期研修でしているのは「医療」なんです。医学知識だけではないトータルマネージメントが必要です。コメディカルスタッフもそうですし、患者さんやご家族の背景など、視野を広げなくてはいけません。私も初期研修のときよりも背景を見る視野が広がったと思っています。それから時間の使い方です。初期研修のときは常に患者さんのそばにいて、無鉄砲なぐらいずっと病院にいましたが、後期研修では患者さんを大事にするのはもちろんですが、そのほかにも事務的な仕事や後輩の指導、今は看護師の指導もしているので、時間の使い方が分散されてきています。

不明な点や不安な点などの悩みごとについてはどのように対処されていますか。

基本的には不明な点があれば、すぐ聞きます。医学は知識面と経験面で成り立っていますが、知識は調べればそれなりに出てきます。しかし、経験は先人から教えていただくものです。知識を自分で調べたうえで、さらに分からないことを酒見先生のような経験ある先生に聞くのも大事です。分からないことはそれで解決します。ご家族から強く責められたときに心が折れそうになることもありますが、当院は神谷部長を筆頭に、相談すれば必ず守ってくれる体制があるので、日常生活のことでもすぐに相談できるのは有り難いです。

看護師の方を含め、コメディカルの方との関係はいかがですか。

それは私が重要視しているものの一つです。医学と医療は全く違いますし、医学知識だけではやっていけないのが医療なので、必ず誰かに協力してもらわないといけません。医師だけが前にぐいぐい行っても仕方ないですし、そういう意味ではコメディカルスタッフとのコミュニュケーションは大事です。年下であっても尊重して、カンファレンスなどでは意見をしっかり聞いたりしています。週に1回、入院患者さんのカンファレンスがあり、看護師さん、事務の方、リハビリのスタッフ、薬剤師さんなどが揃います。そこでお互いが意見を言って、より良い医療をやっていくことを目指しています。

カンファレンスで勉強になっていることや、音羽病院のカンファレンスの特徴などをお聞かせください

勉強系のカンファレンスは昼に毎日やっています。食事をしたら、そのままカンファレンスになるのですが、ランチョンのような要素もあり、食事をしながらのときもあります。鑑別したあとで何を聞いていくのかなど、外来や入院の患者さんの症例をプレゼンし、どういうアプローチをするのかを皆でディスカッションします。これをすることで、診断に直結するクリティカルな質問の仕方が身につきます。最小限の質問と最小限の診察で診断にたどり着くトレーニングをほぼ毎日やっているのです。私たちが質問したことに対し、酒見先生の意見もあり、なぜそういう質問をしたのか、どういうふうに考えているのかなどをフロア内で共有したり、診療のプロセスを皆で共有するようなスタイルのカンファレンスです。

オンとオフの切り替えはしっかりとできていますか。

初期研修のときは独身だったこともあり、病院にずっといたんです。医師になりたくてなったのですから、勉強したことがダイレクトにマネージメントに反映されることに充実感や達成感がありました。今は結婚して3年ぐらいになりますが、オフは家族サービスに使っています。私の信念ですが、内科医たる者、自分の家族をマネジメントできないと患者さんをマネジメントできないと考えています。家族を滅茶苦茶にしながら他人を幸せにはできないので、両方ともに尽くすためにもオフはしっかり取るようにしています。京都はとても良いところなので、可能な限り、週末はお寺巡りをしたり、美味しいところに行ったり、2カ月に1回ぐらいは2泊3日で奈良、神戸、金沢などに行っています。東京からここに移ったのも高齢者医療をしたかったこともありますが、京都に住みたかったからでもあります。オフはオフで楽しみ、関西地区を遊び尽くしたかったのです(笑)。

今後のキャリア形成についてのお考えをお聞かせください。

総合内科でやっていくつもりですが、その中で強みになるものを得たいです。ほかの専門の先生に相談したり、助けてもらう立場ではありますが、逆にほかの先生方を助ける立場にもなりたいと思っています。多くの総合内科医は感染症科や膠原病科を勉強しますので、私もそういったところの専門的な知識を勉強する期間を設けたいです。大学院に入るか、専門の施設で専門医資格を取るかなどを考えています。そこから再び総合内科に戻るのはまだ先の話ですが、専門の知識がある総合内科医をまずは目指します。

洛和会音羽病院とはどんな病院ですか。

地域の拠点病院であり、断らない救急をしている病院です。京都市内を回り回った患者さんが来ますし、京都府寄りの滋賀県からもいらっしゃいますので、この地区の最後の砦です。総合内科は救急との関わりが強く、救急のヘルプに出ることもあるし、救急当直をすることもありますし、その日の責任者という形で当直することもあります。高齢者の多い地域ですし、精神疾患の患者さんや泥酔した患者さんもいたりと、症例はかなり幅広いです。それから内科にも強い病院です。総合内科は屋根瓦式の教育、医師の年齢層が厚いことなども含め、自信を持ってお勧めできます。ほかの専門の先生方は大学からいらした方々なので、大学で行っている専門の話も伺えるのもいいですね。

後期の研修先を検討されている初期研修医の皆さんにメッセージをお願いします。

どの科でもいいので、内科をやりたいと思っている方に来ていただきたいです。来年から新専門医制度が始まり、内科は全てローテートしなくてはいけなくなります。その中で総合内科は1年で3カ月、2年で半年のローテート期間がありますので、どの科を志望する方が来ても、内科医としての基礎知識をお伝えできます。内科を全般的に強くしたい方にお勧めです。私は高齢者医療をしたくて来たのですが、高齢者医療を少しでもしたい方、ここは日本の縮図です。これから進んでいく日本社会がここで見られます。今は4人に1人の高齢者が3人に1人になっていきます。当院の患者さんは85歳や90歳は当たり前で、100歳の方もいらっしゃいます。したがって、高齢者医療を強みにしたい方も是非いらしてください。救急も内科が担当していますから、救急を経験したい方にももちろんお勧めします。

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