後期研修医インタビュー

社会福祉法人

三井記念病院

東京都千代田区神田和泉町1番地

名前 今井 誠(いまい まこと)先生
出身地 神奈川県横浜市
出身大学 横浜市立大学
医師免許取得年度 2016年
名前 中居 伴充(なかい ともよし)先生
出身地 大阪府大阪市
出身大学 神戸大学
医師免許取得年度 2016年

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

中居:

父が医師で、小さい頃に父の勤務先に連れていかれたことがあり、父が患者と接している姿を見ていると、医師の仕事はいいなと思うようになりました。それから中学、高校時代の仲間で医師を目指す人が多かったということもきっかけですね。

今井:

私は子どもの頃に人に感謝される仕事に就きたいという思いがあったのですが、中高生が関わる職業の中で感謝される仕事というと医師やお店の店員ぐらいしか分からなかったんです。例えば研究職だと感謝される場面がそこまでないだろうと考え、それならば人に必要とされ、感謝される仕事に就きたいということで、医師を目指しました。

学生生活はいかがでしたか。

中居:

私はヨット部に入っていました。ヨット部は西宮に合宿場があるので、週末はほぼヨットに打ち込み、主将も務めました。ヨットはお金がかかるので、平日は家庭教師のアルバイトをしていました。また、学祭の委員長もしていましたね。

今井:

私はテニス部に入っており、雨が降っていない日は恐らく毎日のようにテニスをしていました。アルバイトは一応、塾の講師をしていましたが、基本的には部活動漬けの毎日で、6年生の11月までレギュラーとして続けていました。私自身はさほど強くはなかったのですが、チームとしては結構強かったです。東医体よりも関東医科歯科リーグを優先していて、何年も1部校をキープしていました。

初期研修の病院を三井記念病院に決めたのはなぜですか。

中居:

私は神戸大学出身なのですが、大阪や神戸の病院ですと、1病院に5人も6人も神戸大学出身の人がいたりします。それは面白くないと思って、皆がばらばらの大学から集まる東京の病院にしようと考えていました。その中で当院に決めたのは5年間のプログラムが良かったからです。昔からの伝統ある外科プログラムですし、OBにも有名な先生方が多くいらっしゃいます。専門研修の段階で呼吸器、心臓、消化器、乳腺、内分泌と、レベルの高い先生方の手術にもれなく入れることに惹かれました。

今井:

私は大学在学中から消化器内科医を目指していました。母校の消化器内科にはいつでも戻れるだろうと思っていたので、東大系列の消化器内科のある病院を探していました。私は大学時代は部活動ばかりしていて、勉強をしていなかったので、医師になった時点でほかの人よりも明らかに劣っているという自覚がありました。そこで、ハードな初期研修であれば、その差を巻き返せるかなと思い、当院を選びました。

初期研修を振り返って、いかがですか。

中居:

外科コースの場合は消化器外科がメインとなります。5年間のプログラムなので、心臓血管外科や呼吸器外科は卒後3年目からローテートします。昔からのプログラムで、年次ごとにするべきことが明確になっており、安心して研修できます。消化器外科は手術数も多く、その手術にもれなく入れることが良かったです。手術日は月、水、金で、2年目はヘルニアや虫垂切除、胆嚢摘出などかなりの症例を執刀させていただきました。ほかの病院だと、外科を回っていても手術に入れず、病棟管理だけということもあるようですが、当院の場合は全くそんなことはありません。良い意味で研修医がいないと病棟が成り立たないので、充実していました。麻酔科も回りましたが、手技を多くさせてくれるので、初期研修医の中には麻酔科をプラスで回りたいという人もいました。私も楽しかったですね。

今井:

当院の初期研修は内科コース、外科コースに明確に分かれていて、私は内科コースを選びました。当院は伝統のある内科の病院ですので、内科管理については深く勉強させていただきました。今の私は消化器内科医として仕事をしていますが、例えば糖尿病や循環器に関しては心不全のコントロールなど、消化器内科以外の内科のこともほかの専門の先生方に頼らず、ある程度は自分でできるようになったという自負があります。これは本当に初期研修でご指導いただいた上級医の先生方のおかげですね。

今井先生が内科を専攻しようと決められたのはいつですか。

今井:

学生の頃です。私の性格的には外科の方が向いているかなと思ったこともありましたが、大学の実習で8時間、9時間の難しい手術に入ったことがあり、その時間があるなら、内視鏡を使って、何人もの早期がんを治療していく方が私には合っていると気づいたんです。もちろん最後の砦は外科ですが、世の中が非侵襲的な方向に進んでいますので、早期発見で早期治療をしていきたいと思いました。その中で、がんを一番アクティブに治療できるのは消化器内科だと考え、消化器内科を選びました。

中居先生が外科を専攻しようと決められたのはどうしてですか。

中居:

父が肝胆膵外科医だということもありますが、手術で治すのが一番分かりやすいと思っていたからです。内科のように内服調整で治すのは性分に合わないと考えました。外科はお腹を実際に開くとこうだというのがはっきり分かるのがいいですね。手技も好きですし、8時間、9時間の手術でも耐えられそうでした(笑)。

専門研修で三井記念病院を選んだのはどうしてですか。

中居:

私は5年セットで考えていたので、初期研修で入職したときから、専門研修でも当院に残ろうと決めていました。

今井:

内科は外科と違って、初期研修の2年間がマストなので、専門研修への明確なビジョンはなかったんです。私たちの代から新専門医制度になったこともあり、病院もプログラムに入っている人が専門医を取れないことがないよう、きちんと指導するだろうと思いました。その意味では初期研修と同じ病院にいた方が初期研修での症例も使えるし、取りこぼしがなさそうでした。そこで初期研修修了後に東大の消化器内科に入局し、医局派遣という形で、当院で専攻医研修を受けています。当院は東大の消化器内科の関連病院の中では由緒正しい病院ですし、教育体制もスタッフも充実していますね。

専門研修で勉強になっていることを教えてください。

中居:

卒後3年目から呼吸器外科、心臓血管外科、乳腺内分泌外科の研修が始まり、地域研修の枠組みで宮崎県の古賀総合病院に行ったりもします。どの科も3カ月から6カ月、しっかり回りますので、管理や手術の内容が理解できてきます。どの科にも手術が上手な先生がいますし、古賀総合病院の古賀倫太郎先生も当院やがん研有明病院にいらした方で、手術がとても上手なんです。私は将来、心臓血管外科や呼吸器外科に進むつもりはないのですが、上手な先生方の手術を見ると、こういう手技があるのかなど、勉強になります。大学病院の心臓血管外科の専攻医と同程度の手術の知識はあると思いますね。それから、専攻医はどの科でも戦力なので、病棟管理も勉強になっています。心臓血管外科であれば循環器の管理や急変の対応、呼吸器外科であればレントゲンやCTの見方も習います。私は内分泌外科を目指そうと思っていますが、どこに行っても負けないぞという気持ちが持てましたし、一人前の外科医にしていただいたと感謝しています。

今井:

私はほかの病院に勤務したことがないので、ほかの医師に比べることは現時点ではできないのですが、当院の消化器内科の良さは消化管、肝臓、胆膵など、全ての領域にプロフェッショナルな先生がいらっしゃることです。消化器内科の症例を余すことなく、一つの施設で経験できるのは大きいですね。外科にしても、川崎誠治院長はじめ、優秀な先生方が揃っているので、ほかの病院の外科に送ることがなく、消化器全般を学べるという点で良い研修ができています。

中居先生はどうして内分泌を選ばれたのですか。

中居:

初期研修の頃は消化器外科を考えていたのですが、専門研修が始まって、乳腺内分泌外科を回り、手術にしても、診療にしても、内分泌の面白さに気づいたからです。それと指導医の先生との出会いですね。プロフェッショナルで優秀な先生に出会えたことで、その先生がロールモデルになりました。当院に来ていなかったら消化器外科医として過ごしていたかもしれませんが、内分泌外科医を志している私がいるのは当院のおかげです(笑)。甲状腺の手術は面白く、内分泌疾患は内分泌臓器が悪さをすると、全身に影響を与えます。そういう内科的なことも含まれているのが興味深かったです。

指導医の先生方のご指導はいかがですか。

中居:

専門研修になると、指導医という概念があまりないんです。病棟では専攻医の裁量が大きく、自分で考え、自分で調べ、自分で動くので、最終確認や病棟管理で困ったときに大方針だけ聞くことが多いです。風通しがいいので、どんなことでも聞けますよ。手術に関しては怒られることもありますが(笑)。

今井:

消化器内科の戸田信夫部長はすごい方なので、胃カメラや大腸カメラといった手技から病棟管理、学会の準備まで、部長が熱心に手取り足取り教えてくださいます。丁寧な指導を受けることができて、本当にいい環境だと思います。

病院に改善を望みたいことはありますか。

中居:

マンパワーが足りていない面はありますが、その分、症例が回ってくるので、仕事をしていて楽しいんですよね。遅く帰る日もありますし、今の働き方改革には逆行していますが、こういう働き方がいいという人には当院は合っていると思います。

今井:

中居が言ったように、内科でもマンパワーは足りていないような気がします。医師不足の理由として何かあるのでしょうが、それは中にいる私たちには気づかないことですね。広報活動が足りていないのかもしれません。

初期研修医の指導にあたって、気を付けていることはありますか。

中居:

初期研修医から聞かれたことは答えないといけないので、自分でも調べないといけないし、知っておかないといけません。手術や病棟管理、内科的なことまで教える必要があるので、かなり勉強しています。初期研修医への指導は本当に勉強になりますね。学年が近いと聞きやすいので、何でも聞かれますが、当たり前に思っていたことを「これ、何でなんだろう」と気づかされることもあります。そこで何でも聞いてくれというスタンスで、話しかけやすい雰囲気になるよう、心がけています。

今井:

内容によって、教え方を分けています。雑務でしたら、「自分で考えろ」と言っても仕方ないし、時間がもったいないので、ぱっと教えます。一方で、自分で考える癖をつけておいた方がいいことに関してはすぐに答えを教えずに、初期研修医の技量に合わせてヒントを与え、患者さんに迷惑がかからない範囲で診療に当たってもらうようにしています。

当直の体制について、お聞かせください。

中居:

消化器外科は月に6回程度です。専攻医が1人で外来も病棟も担当します。緊急手術の場合は上級医を呼びます。心臓血管外科の場合は最初の1カ月は上級医と一緒ですが、あと5カ月は1人で、挿管やCV挿入、呼吸器設定もします。急変が多く、管理が難しい科なので、スキルアップしますね。辛いですが、人生の糧になると後輩には言っています(笑)。

今井:

病棟の内科当直は月に3回あります。それから3週間のうちの1週間分、オンコールがあります。どちらも専攻医が1人で担当します。

カンファレンスはいかがですか。

中居:

消化器外科は火、木、土の朝8時から次の日にある症例のプレゼンをします。毎回プレゼンをしますので、まとめたりする能力も上がるし、プレゼンに関しては自信がつきました。自分が入ろうとしている手術が「こうやって、こうなって手術するんだ」と理解できると、管理についても分かってくるので、カンファレンスは良い機会です。また、術後のカンファレンスがあり、手術記録を皆の前でプレゼンすることで、手術の内容理解に繋がるので、ほかの病院から来た先生からはこの学年にしては内容を理解できていると言われますね。術前のカンファレンスはどこの病院でもしていますが、術後はあまりしていないようなので、手術記録の書き方なども教われますし、勉強になっています。

今井:

水曜日の午後に内科全体のカンファレンスがあり、木曜日と金曜日に消化器内科のカンファレンスがあります。水曜日は内科全体で2人程度、発表者が当てられており、最近の興味深い症例を報告します。木曜日は消化器内科全体の患者さんのカンファレンス、金曜日は木曜日に話し合った症例の中で興味深い症例をプレゼンするカンファレンスです。

コメディカルのスタッフとのコミュニケーションはいかがですか。

中居:

若い看護師さんが多いので、優しいですし、話しかけやすいです。逆に言えば、向こうもこちらに話しかけやすいようです。何でも聞いてこられることが良いのか、悪いのかは分かりませんが(笑)。飲みに行くことも多いし、コミュニケーションは取りやすいです。

今井:

生理検査の技師さんや放射線科の技師さんが優秀であることは当院の特色だと思います。「こんなオーダー、よく聞いてくれるな」というぐらい、緊急のオーダーを飛ばしているのですが、嫌な顔することなく受け入れてくださいます。色々な検査をすぐにできる環境にあるので、技師さんにはとても感謝しています。

中居:

当院は日本で最初に臨床工学技士さんのチーム(MEサービス部)を作った病院なんです。伝統もあり、優秀な人が多いです。心臓血管外科の症例が多い病院なので、人工心肺装置の症例の理解も深いし、体外循環の装置が入った患者さんがICUにおられることもありますが、カンファレンスでも医師と同等に意見を交わせる方々なんです。手術はオペレーターだけでなく、麻酔科医や看護師、臨床工学技士などがチームを組んで進めるので、垣根が低いことは良いことですね。

何か失敗談はありますか。

今井:

遅刻ですかね(笑)。

中居:

飲み過ぎて、遅刻は私もあります。よく働いて、よく遊んで、よく飲むというのは当院の伝統なんです(笑)。

研修医同士のコミュニケーションは活発ですか。

中居:

研修医の部屋はないのですが、卒後8年目ぐらいまでの医局があります。時間があるときや当直のときはそこで話をしているので、皆の仲がいいんですよね。内科も外科もお互いが忙しいのが分かっているから、お互いが気を遣っているし、垣根が本当に低いです。内科のフォローのことは今井に聞いています。きちんとした消化器内科医がいるのは有り難いです(笑)。逆に、内科の人たちからは「こういう人がいて、手術にしたいんですけど、どうしたらいいですか」と聞かれるので、マネジメントについて教えることもあります。

今井:

学年の垣根もないですね。

中居:

外科は5年間を過ごす人が多いので、初期研修医が初執刀の前に何を悩んでいるかなど、手に取るように分かるんです。先輩たちも私たちが回る科を回ってきているから、悩みを分かっているので、色々な話ができます。外科は部活動みたいな雰囲気です。

今後のご予定をお聞かせください。

中居:

当院の外科は卒後6年目にチーフレジデントとして専門研修をさらに積むという道があります。私は内分泌外科を目指しているのですが、当院の内分泌外科は症例がそこまで多くないので、大学に入局する予定です。3年目で入局という人が多いですが、3年目だと分からないことも多いです。しかし、私たちは5年間の猶予期間をいただき、どの科もしっかり回って、診療内容を理解したり、ロールモデルになる先生と出会うことができたうえで、専攻する科を決められるのは大きかったと思います。

今井:

私は専門研修を終えたあとは東大の大学院に入り、研究をする予定です。その後、臨床に戻るかどうかなどの行き先は研究をしたうえで決めたいと思います。

現在の臨床研修制度について、ご意見をお願いします。

中居:

良い制度ではないでしょうか。私は今後外科疾患を診ていくわけですので、当院のような病院で内科をみっちり仕込んでいただけたのは今後に繋がります。

今井:

専門がある程度決まっていて、その中でもしたいことが決まっている人にとっては逆に無駄な時間だと思います。内視鏡の治療だけしたい、内科的な管理に興味がない人には初期研修も内科の専門研修制度も無駄な時間になる可能性が高いです。しかし、私自身はそのようには考えていないので、良い制度だと思います。

専門研修についてもご意見をお願いします。

中居:

当院の外科コースに関しては大きな変更はなかったんです。一つ一つの科をきちんとローテートしていくことは以前からしていたことなので、新しい制度についての実感はありません。

今井:

新しい制度になり、初期研修をしたのに、さらに他科をローテートしなければいけないシステムは遠回りだと考える人がいるのは事実でしょう。ただ、専門研修と初期研修では研修医の立場や患者さんのレベルが全く違うので、初期研修で経験できなかったこと、知らなかったことを新たに学べるのは良いと思います。

これから専門研修の病院を選ぶ初期研修医にメッセージをお願いします。

中居:

外科の場合は初期研修医でははく、医学生に向けて言わないといけないですね。当院の5年間のプログラムで色々な科のことをしっかり勉強して、一人前の外科医を目指すのはとてもいいです。私は全く後悔していません。心臓血管外科に行くと決めて、心臓血管外科しか回りたくない人もいるかもしれませんが、ほかの外科的な疾患を診ておくことは必要です。ほかの科の手技が自分の手術に活かせることもあるかもしれないので、メジャー外科に進むうえでは当院の5年間のプログラムはお勧めです。

今井:

消化器に限らず、当院のスタッフの先生方は優秀ですし、循環器内科の病院としても有名ですから、重症患者さんも診られます。内科医としての最低限の実力をつけることができ、その先の専門科に関しても高いクオリティで学べます。一つの病院内で完結することが多くありますので、専門研修にも相応しい病院です。

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