後期研修医インタビュー

社会福祉法人 聖隷福祉事業団

総合病院 聖隷浜松病院

静岡県浜松市中区住吉2-12-12

名前 菊池 高史(きくち たかし)先生
出身地 兵庫県神戸市
出身大学 徳島大学
医師免許取得年度 2016年

医師を目指したきっかけをお聞かせください。

父が内科医だったことから、身近な職業だったことが大きいです。父の患者さんに対し朗らかで、かつ真摯に接していた姿勢に憧れを持っていました。

学生生活はいかがでしたか。

中学、高校と吹奏楽部でクラリネットを吹いていましたので、大学でも全学のオーケストラ部に入りました。全学なので、他学部の友達もできて楽しかったのですが、全学のキャンパスまで通うのが大変で辞めてしまいました。その後は医歯薬のサークルや市民バンドで音楽を続けていました。

初期研修の病院を徳島大学病院に決めたのはなぜですか。

徳島大学病院基幹型臨床研修プログラムでは全国に多くの協力病院があり、複数の協力病院でじっくりと期間をとって学ぶことが魅力でした。大学病院でアカデミックな部分に触れつつ、他方市中病院で救急外来やcommon diseaseを診ることができて良かったと思います。

たすきがけの病院を枚方公済病院にされたのですね。

枚方公済病院は救急外来を中心とした急性期の病院ですが、循環器疾患は急性期~慢性期まで幅広くカバーしている特徴があります。大学病院は病歴が複雑で、経過の長い患者さんを多く受け持っていたので、症例を理解するのに時間を割いた印象があります。一方で、枚方公済病院は研修医には程よいサイズ感で各科の垣根が低く、各科の医師で協力して皆で救急外来をこなしていました。大学病院よりもコミュニケーションが気軽に取れて、面白かったですね。枚方公済病院は京都大学医学部附属病院や徳島大学病院の協力型病院でしたが、徳島大学病院から研修できるようになったのは私が2代目くらいだったと記憶しています。京都大学医学部附属病院の研修医も一緒に研修をしており多くの刺激をもらいました。

初期研修を振り返って、いかがですか。

私は2年目の最後の4カ月は聖隷浜松病院で研修したので徳島大学病院、枚方公済病院、聖隷浜松病院という3つのそれぞれ特色の違う病院で研修することができました。徳島大学病院では、超音波センターやSCUなどを1カ月のピンポイントで回ることができます。超音波センターでは心エコーや腹部エコー、SCUではストローク系の疾患を学べました。地域医療の研修では精神科の研修を兼ねる形で、板野郡上板町の藍里病院に行きました。また、枚方公済病院は循環器が強い特徴を持ちつつ地域の急性期病院として機能していたので、「The市中病院」といった環境で和気藹々と研修できました。そして、聖隷浜松病院では麻酔科をメインで回りつつ、救急外来でも研修したのですが、こちらは交通外傷なども多く、病院の特色は地域によっても違うこと、病院が地域で果たしている役割も違うことが分かりました。2年間だけでしたが、広い視野で見る経験を積めたと思います。

先生が麻酔科を専攻しようと決められたのはいつですか。

初期研修2年目の終わり頃です。元々は内科に行こうかと漠然と考えていたのですが、5年生になって学外実習が始まったとき、最初に行ったのが聖隷浜松病院の麻酔科でした。初めての臨床の場が聖隷浜松病院の麻酔科だったというのは振り返ってみれば縁があったのかもしれません。そこから麻酔科に興味を持ち、初期研修も大学病院の麻酔科から始めました。しかし、大学病院と市中病院では手術の内容も違いますので、市中病院の麻酔科もみてみたいと思いプログラムを組んでいくうちに、気づけば麻酔科になっていました(笑)。麻酔科は臨床の中でも少し特殊な分野で、患者さんとの距離感が独特かと思います。患者さんにとっては、人生において大きなイベントとなる手術の前後で、「何をしていたのかよくは分からないけれど、声をかけてくれた先生がいたなぁ」と思われる方が多いのではないでしょうか。すごく直接的に感謝されることは少ないかもしれないけれど、結構重要なことをしている、さりげない「縁の下の力持ち」の様な存在に魅力を感じたのかもしれません。

専門医研修先として、聖隷浜松病院の麻酔科を選んだのはどうしてですか。

聖隷浜松病院を選んだのは学外実習で麻酔科に来たときに、先生方が手術をてきぱきとコントロールされている様子を見て、かっこよかったというのが大きいですね。改めて初期研修に来てみて、症例数が多いこと、手術のバリエーションが広いこと、新生児から90歳を超えた方まで幅広い年齢層の患者さんがいらっしゃることに惹かれました。私は本を読んで学ぶのが苦手なタイプなので、自分で肌で経験する機会が多い当院で研修できて良かったです(笑)。

専門医研修で勉強になっていることを教えてください。

指導医の先生方が経験豊富で、オールマイティに仕事をこなされているので、日々学ぶことが多いです。また、当院は手術室の看護師さんや臨床工学技士さんが多く、皆で患者さんを診ていこうという意識の高い病院です。医師同士だけではなく、コメディカルスタッフの皆さんとコミュケーションが取りやすく、ベテランの看護師さんや臨床工学技士さんからも学びやすい環境です。

指導医の先生方のご指導はいかがですか。

優しくて、何でもさせていただけるし、かつフォローもしっかりしてくださっているので、とても有り難いです。

病院に改善を望みたいことはありますか。

思いつかないですね。プログラムにしても、すぐに相談に乗ってくださり、柔軟に対応していただける環境です。例えば当院のICUは麻酔科ではなく、救急科の先生方がメインで診ているのですが、ICUも研修したいと要望すれば可能です。

初期研修医の指導にあたって、気を付けていることはありますか。

私も未熟な部分があり、自分が一杯一杯だと丁寧に教えることがなかなかできないのですが、どういう考えでその手技の方法をとっているのかということを伝えるようにしています。麻酔科は点滴や挿管といった手技が特に多いのですが、手技の習得にあたっては数をこなすことが必要です。失敗経験も大事ですが、成功体験がないと自信に繋がらないので、初期研修医が自信を持てるように、できるだけフォローしていきたいというスタンスを心がけています。

やはり手技の習得は大変ですか。

大変ですね。うまくいかないと落ち込んだりして、一喜一憂です。でも指導医の先生方が相談に乗ってくださるし、「こういうところに気をつけた方がいいのでは」というアドバイスもあります。色々と考え込むより、数をこなすことが大事ですね。私は専門医研修医になって3年目ですが、点滴や挿管に加え、硬膜外麻酔などもかなりの数をさせていただいているので、自信に繋がっています。

当直の体制について、お聞かせください。

麻酔科はオンコール体制をとっています。平日は全ての手術が終わるまでと、翌日の朝までに緊急手術が入れば、電話で呼ばれます。2人体制が基本で、ファーストだけでは難しい場合はセカンドも呼ばれますが、相談しながら臨機応変に対応しています。回数は月に5回前後です。

カンファレンスはいかがですか。

堅くなく和やかな雰囲気です。症例数が多いので、ピックアップした症例に対して、初期研修医が手術前の診察やカルテ、患者さんに会いに行って拾ってきた情報などをもとにプレゼンします。慣れてきたら、麻酔の計画も話してもらいます。それに、上級医がアドバイスするという形ですね。初期研修医が見落としていたことを補足したり、どういうところに気をつけるべきかなどを伝えるようにしています。

コメディカルのスタッフとのコミュニケーションはいかがですか。

活発ですね。看護師さんも薬の知識が豊富なので、話が通じやすいです。また、臨床工学技士さんの中で麻酔科のサポートをメインに行う方が何人かいらっしゃるのですが、その方々とは毎日のカンファレンスでご一緒しています。よく見ていただいているし、器械やデバイスの相談にも乗ってもらえるので、勉強になりますね。

何か失敗談はありますか。

手技の失敗なら、数え切れないぐらいありますね(笑)。

研修医同士のコミュニケーションは活発ですか。

麻酔科の専門医研修医は私を含めて3人います。去年は私だけだったのですが、今年は1年目の人とほかの病院のプログラムから移ってきた人が入り、3人になりました。3人でよく話していますよ。特に専門医研修が始まったばかりの1年目の人には色々な話をしています。

今後のご予定をお聞かせください。

今は手術麻酔をしていて楽しいので、内容を深めていきたいです。当院では麻酔科専門医のほかに、心臓血管外科麻酔の専門医資格も取れるので、こちらも取れたらいいなと思っていますが、今後のことを具体的に考えるのはスキルをさらに身につけてからでしょうか。

現在の臨床研修制度について、ご意見をお願いします。

私もこの制度で育った一人なので、ほかの制度の良さは分かりません。この制度は2カ月ぐらいで終わる科もあるので慌ただしく、色々なことが過ぎ去ってしまう反面、色々な経験ができるのがメリットではないかと思います。私自身はとにかく様々な経験をしたので、視野が広がった意味では良かったです。

専門医制度についてもご意見をお願いします。

標榜医を申請するときに色々と調べましたが、学会と専門医機構のイメージがはっきりしないところがあります。ただ、今の制度に不満はありません。楽しく研修できています。

これから後期研修の病院を選ぶ初期研修医にメッセージをお願いします。

私の場合は初期研修の間、内科か麻酔科かと迷い続けました。しかし初期研修では色々な病院でそれぞれのシステムを学ぶことが重要であり、経験は財産になりますので、手を抜かずに、そのときどきの研修を頑張りましょう。私が学生時代にお世話になった先生に言われたのは「医師免許を手にすると、患者さんに感謝されるのが当たり前の身分になる。しかし、その後は同業者にも感謝される仕事をしなければならない」ということです。医療がこれだけ細分化されている時代に、その分野のプロフェッショナルになり、医師や看護師といった同業者にも認められる仕事をしたいと私も思います。学生時代から「患者さんのために」と言われ続けますが、それは当然で、その上で今は患者さん一人に対し、様々な科の医師が複合的に関わる時代です。主科から他科にコンサルテーションする機会も多いと思います。安心して任せられる医師を目指したいものです。外科医からの緊急手術依頼はいつも緊張を伴うものですが、外科医からの「ありがとう」という言葉は、案外満足感や達成感に繋がったりします。もちろん患者さん第一は前提です(笑)。進路に迷っている人はこの視点を持つと面白いかもしれません。

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