【初めに】
そろそろ実習試験の時期でしょうか。5年生の皆様は現在、どのようにお過ごしでしょうか。
この5年生の実習期間が終わると、あとは国家試験と卒業試験を残すのみ。
でも、そういえば六年生のスケジュールってどうなっているんだろう?今から準備できる事って何かあるだろうか?
今日は皆様と、今後のスケジューリングを一緒に考えたいと思います。
何かの役に立ちますと幸いです。
【6年生のスケジューリング】
大まかに六年生のスケジューリングを列挙しますと、大体下記のようになります。
4月~5月: 実習や対策授業など、合同病院説明会、昨年度の国試解説発売など
6~7月: 研修医マッチングの参加登録開始、各予備校の第1回模試
8月: マッチング参加登録締め切り、病院見学期間、各予備校の後期分配信開始
9月: マッチングの病院登録、各予備校の第2回模試
10~12月: マッチングの結果発表、卒業試験、各予備校の第3回模試
1月: 予備校の第4回模試、直前講習など
2月: 医師国家試験
全国的に卒業試験以降は国家試験の為の自習期間になるのかと思いますが6年生は上記のスケジュールの中で何とか勉強をしていかねばなりません。
特に気になるのは、マッチング、つまり病院就職活動との兼ね合いです。就活と試験という二つのビッグイベントがあると、内心どちらを優先させたものか気が気ではないでしょうね。かと言って、就活をないがしろにもできないし。
そこで、次にマッチングと国試対策の比重について考え方をお伝えしたいと思います。
【病院としても、国家試験に失敗されると困るのです】
凄く当たり前の話ですが、そもそも国家試験に合格しないと医者として活動はできません。
つまり、国家試験に落ちると、仮に希望の病院にマッチしたとしてもその病院で働けるとは限りませんし、また次年度も希望の病院とマッチするとは限らないのです。
しかももう一点、病院側としても内定者が国家試験に落ちると非常に困る事情があり、それが病院の人手が減る事で、病院全体に大きな負担がかかるという点です。
それ、職場としてはかなり死活問題ですよね。
だからこそ、全国区のブランド病院ともなると、CBTの点数で足切りを行ったり、事前に就職試験としてペーパーテストを行ったりして、採用しようとしている医師が国家試験に落ちる要素を持っている人間ではないかを測ろうとするのです。
ですから、原則就職活動はそこそこに行うとして、国家試験を最優先にするというマインドで問題はない訳です。
では、この前提の元、就職活動はどこまでやれば良いのでしょうか。
【国試を踏まえた就職活動の仕方】
全国的に有名なブランド病院はある程度対策をする必要があるでしょうが、そんな施設での研修を考える人はCBTの段階から就職を意識する必要がありますし、そもそも国試とのバランスを考えずとも普通に国試に合格するほどの実力を持った人だと考えます。
ですから、これは地元の一般的な救急病院で就職を考える場合のお話だと思ってください。
一般的なやり方と、少し挑戦的な方法があります。
一般的なやり方は、第一志望の病院には2-3回見学に行き、しっかりと働きたいという意思を伝え、情報を集め、その上である程度志望動機などの一般的な面接の内容を考えて、ある程度就職面接の対策をしていくというもの。
まぁ、これは納得がいくと思います。一般的な就職とそんなに大差がないやり方だからです。
現実的な対策は、面接の直前に1日1時間、面接の日まで2週間~1ヵ月ほど志望理由や病院の理念などを頭に詰め込む事になるでしょう。僕もそれくらいの対策で地元の三次救急病院の面接に挑み、無事にマッチしています。
もう一方の方法は、6年生の実習期間で特例として院外での実習を認めてくれる場合があるので、事前に(できれば現時点で)大学と就職したい病院に交渉して、長期間の院外実習をお願いしてみるという方法です。ただし、かなり挑戦的な手法です。
この手法には賛否両論ありますが、長期実習をするほどその病院に興味があるというやる気は少なくとも伝わりますし、市中であればコモンディジーズを見ることができるので、勉強になります。僕の同級生はこれで志望する病院に合格していました。
なので、これから春がやってきますが、もし行きたい病院があるのならば、春休みのうちに1回志望する病院に見学に行っておきましょう。
そろそろ病院見学も再開している施設も多いはずです。なので、まずは病院見学が可能か問い合わせをしておくこと。これが大切になるでしょう。
【マッチングに参加しないで、二次募集ではダメなの?】
よく勉強に自信がないから、マッチングに時間を掛けたくない。そんな焦りがある人が、二次募集で病院就職をするという選択を取る印象があります。
これに関しては、正直ギャンブルだと言わざるを得ません。
詳しくは春の記事を参照いただきたいのですが、初期研修先はこれからの皆様のキャリアを決定する、重要な因子となり得ます。だからこそ、堅実に選んだほうが良いです。
もしそれほど勉強に自信がないのであれば、今から必死にやり始めましょう。それはもちろん、病院就職の対策というところまで計算に入れた上でです。
結局、国家試験は長距離走です。1年以上掛けて勉強するものなので、一夜漬けで何とかなるものではありません。
僕がよく生徒さんに言う事ですが、医学生で試験を落とすことなく青春を送れている人間は、ちゃんとスケジュールを組んでいます。いつ頃に試験が始まるから、ここまでは遊べる、ここからは遊べない、と明確に線引きをして、行動しているのです。
それこそが要領の良さの正体であり、国試に求められる能力なのです。
ですから、勉強に自信がない人は、マッチングを捨てる前にまずは今すぐ自分に必要な勉強がどの次元なのか、どこまで何をやる必要性があるのかをしっかりと可視化した上で、その勉強量をこなすのに必要な時間を人に聞きながら概算する事。場合によっては予備校のチューターなどに意見を伺ってみても良いでしょう。そういうことを至急やった方が良いと思います。
【皆様、4月が国試まで1年ではありませんよ】
そして、最後に皆様が盲点になっている事実を伝えておきたいと思います。
6年生の4月は、もう国試まで1年切ってます。だって国試は2月ですから。
という事で、1年計画で国試をやるなら、この5年の冬から勉強をする必要があります。さらに言えば、1月には迅速にスケジューリングを終えておかねばなりません。
なので、今回の記事を参考に、マッチングを意識しながら、国試の勉強をやっていくには、というマインドで是非スケジュールを立ててもらえればと思います。
【最後に】
今回はマッチングと国家試験の勉強の兼ね合いについて解説させていただきました。
マッチングに関しては、ある程度一般的な就職対策が通用します。一部のブランド病院では専門的な対策がいるでしょうが、正直それはGoogleや一部上場企業の就職と考えればある意味で当然の事なのかと思われます。
マッチングに関する取り組みは、もうこの冬から始めていく必要性があります。六年生まであと少し! 共に頑張っていきましょう。
著者プロフィール
ペンネーム:なつ
プロフィール:市中病院勤務の脳神経内科医。趣味は釣りと小説と東洋医学。臨床をこなしながら、
CES医師国家試験予備校で講師として「アウトプットする授業」をモットーとして学生の指導に
当たっている。僕のコラムが何らかの形で皆様の力になれば幸いです。一緒に頑張りましょう!