初期研修インタビュー

2024-11-01

飯塚病院(福岡県) 指導医(初期研修) 鵜木友都先生 (2024年)

飯塚病院 (福岡)の指導医、鵜木友都先生に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。この内容は2024年に収録したものです。

飯塚病院

〒820-8505
福岡県飯塚市芳雄町3-83
TEL:0948-22-3800(代表)
0948-29-8904(直通)
病院URL:https://aih-net.com/resident/

鵜木先生の近影
名前
鵜木 友都(うのき ゆうと)先生
経歴
1988年 福岡県北九州市に生まれる。
2013年 大阪大学を卒業後、飯塚病院で初期研修を行う。
2015年~現在に至るまで飯塚病院に在籍している。
専門分野
総合診療科
専門医資格
日本内科学会認定内科医、日本内科学会総合内科専門医

飯塚病院の特徴をお聞かせください

福岡を大きく4つに分けた地域のうちの筑豊地域の中核病院です。
他の地域には大学病院がありますが、筑豊地域にはないので筑豊地域の3次救急や難しい症例は全て飯塚病院が担う必要があります。筑豊地域は人口が40万人おり、本当に多彩な症例が当院に集まってきます。

鵜木先生がいらっしゃる総合診療科の特徴もお願いします

鵜木先生の指導風景

病院によっては総合診療科は外来しか診ないところもあったりしますが、当院は入院がメインで、入院診療をしっかりやっています。
常時130名から150名程度の入院患者を受け持っており、当院が1,040床なので、1割から1.5割は総合診療科が担当しているという点も特徴的かなと思います。もちろん診断確定して総合診療科が診るケースも多いですし、あとは診断未確定の状態で入院するようなケースも総合診療科が大半ではあります。そういった診断困難例などは特に貢献できていると思っています。

飯塚病院の初期研修プログラムの特徴・自由度について、ご紹介ください

初期研修は、僕の頃と今大きく変わってきています。
昔は、自由度は低く1年目は必須ローテで固められていて、2年目も自由選択期間が20週程度でした。今では1年目から自由選択期間が15週ほどあり、2年目でも25週くらい自由に選択できるようになっていて、自由度は高くなってきていると思います。

サポート体制はいかがですか

鵜木先生の指導風景

メンタルの不調が出ていないかやメンタルダウンしてしまう前に発見できるよう臨床心理士との面談を年2回必ず行っています。
また1年に1回同期との宿泊研修もあり、その間は当直なども含めすべての業務が免除となります。コロナ禍では宿泊研修はなく業務免除のみでしたが、昨年から再開して今年も10月と11月に1年次と2年次でそれぞれ1泊2日の宿泊研修というプチ旅行があります(笑)

初期研修医の人数は何人ですか

初期研修医の人数は2年目18名、1年目18名です。

先生の研修医時代はいかがでしたか

現在では当直体制もしっかり整っており、総合診療科では家に帰った後にまた急に呼ばれるということはほぼないんですけど、昔はそうではなく呼ばれたりすることもありました。年末年始に十二指腸潰瘍の出血がなかなか止まらなくて連日呼ばれて、連日カメラとか放射線の治療をしたり、夜中に呼ばれる事がありました。同期で映画を観ている時に呼ばれてしまって泣ける~とかですね(笑)2年目の冬、年末年始でした。大変でしたがそういうのが楽しい時代ではあったかなと思います。古き良き・・みたいな感じで、今ではもう難しいかもしれません。

最近の研修医をご覧になって、いかがですか

鵜木先生の指導風景

優秀な人が多いと思いますよ。やっぱり若い人の方がITリテラシーが高かったりもしますしiPadとか使いこなしている人も結構います。

初期研修医の指導にあたって、心がけておられることをお聞かせください

初期研修医もそうですし専攻医の教育もそうですけど、基本的にはあまりすぐ教えすぎないということを心がけています。もちろん状況にもよるんですけど、『先生はどう考えてどうしたいと思ってるの』ということは必ず先に聞いて、それがぱっと出てくる人であればそこからディスカッションをします。パッと出てこない人にはもちろん教えますが、必ずまず自分の考えとか、どうしてそう思うのかとか、その考えを言わせるようには心がけています。

研修医に「これだけは言いたい」というのはどのようなことですか

飯塚病院はシェアをしましょうということをよく言っています。僕も研修医同期と今でも繋がっていますが、同期と切磋琢磨しながら自分が経験したこととか学んだこととかをシェアをして、1人だけ抜け駆けで成長するんじゃなくて、みんなで成長していこうというマインドが飯塚病院の初期研修の文化としてはあるので、そこをしっかりもっと発展させてほしいなと思いますね。

「こんな研修医がいた」というエピソードがあれば、お聞かせください

鵜木先生の近影

今、産婦人科でうちに残ってくれている当院で初期研修を行った医師が居まして、彼はお世辞にもすごく頭が切れるとか、知識が多いとか、そういうタイプではないんですけどコミュニケーション力が非常に高いです。特に印象深く覚えているのは、なかなか大腸カメラをさせてくれない高齢の患者さんがいて、外来担当も困っていました。その患者さんは入院になったんですが、最初は『絶対そんな検査しない!!』と言っていました。しかしその先生が患者さんとうまくコミュニケーションをとり話を重ねたら、最終的に検査を了承してくれて診断がしっかりついたっていうそういうケースがありましたね。

飯塚病院に来られた経緯をお聞かせください

総合診療をやっていくって決めたときに、どこでやって学ぶのがいいかなっていう中で飯塚病院の総合診療科は全国的にもそれなりに知られていますし症例数もすごく多いですし、あえて他に行くという理由はなかったというのが一つあります。
あとは家族もみんな福岡にいるのでそこをあえて離れて遠くに行くっていうことは考えなかったです。

現在の臨床研修制度についてのご意見をお願いします

どんな制度にも良い面悪い面あるとは思いますが、医者人生長いので40年近くありますから、最初の2年間こういうスーパーローテとしていろんな科を経験するっていうのはプラス面が大きいのかなとは思います。
元々何科と決めている人でも変わるパターンもいっぱい見てきましたし、もちろん最初からもうこの科と完全に決めている人からするとちょっと回りくどいところもあるのかもしれません。しかし最初の2年間だけでも色々な診療科を経験し、この科はこういう考え方をするんだなとか、そういうのを知るっていうのは医者人生においては大事なのかなと思います。実際そこで習ったことを使う使わないは別として、どんな見方をしているのかとか、その科の文化を垣間見るという意味では非常に価値があるのかなと思います。

これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします

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