加古川中央市民病院
兵庫県加古川市本町439
名前 米澤 瑞華(みずか)
出身地・出身大学/医師免許取得年度 兵庫県西宮市・神戸大学 / 2017年
医師を目指したきっかけをお聞かせください。
もともと人と関わる仕事がしたいと思っていたものの、あまり明確には決めきれなかったんです。高校生のときに生物や医学に興味を持ったので、この興味を活かせるのは医師かなというところから少しずつ医師を目指すようになりました。小さい頃から医師を目指していたわけではなく、何になろうかと迷い続けていて、医学部に行こうと決めたのはかなりぎりぎりの時期でした。
学生生活はいかがでしたか。
サークル3つを掛け持ちしていたので、忙しかったです。卓球部とESSとクラシック音楽を演奏するサークルです。どれにも手を抜きたくなかったので、西医体とESSでのディベートの大会と音楽を演奏する機会が一気に来たりするときつかったですが、楽しかったです。音楽サークルでの楽器はピアノで、コンサートが年に2回あり、オーケストラまではいかないぐらいの編成だったり、小グループでの編成だったりで、色々な楽器の人たちとアンサンブルをしていました。アルバイトでも近所の子どもにピアノを教えていました。ほかに個別指導塾の講師のアルバイトもしていました。
初期研修の病院を加古川中央市民病院に決めたのはなぜですか。
様々な病院に見学に行ったのですが、これだという病院をなかなか見つけられず、迷っていました。その頃は産婦人科を考えていたので、周産期医療がしっかりしていて、なおかつ色々な診療科が揃っている病院を探していたときに、大学の先輩が加古川中央市民病院で研修していたので、見学に来たんです。その最初の見学でここだなとビビビッと来たので、当院に決めました。
そのときの印象を詳しくお聞かせください。
対応してくださった先生が親身になって話を聞いてくださいました。当時、興味のあった産婦人科も見学させていただいたのですが、施設が新築された頃だったので、とても綺麗で、たくさんのスタッフがてきぱきと働いていてすごいなあと圧倒されました。ちょうどドクターヘリも来ていたので、ヘリコプターの前で写真を撮ったり、止まっていたヘリコプターに乗せていただいたりもしました。
初期研修を振り返って、いかがですか。
とても楽しくて、充実していました。神戸大学医学部附属病院からのたすきがけの人も含めると、同期が20人弱いたので、わいわいと楽しく研修したり、困ったときには相談に乗ってもらっていました。人数が多いので、救急科ローテでは3人から5人ぐらいが一気に入ることになりますが、皆で力を合わせて一生懸命、働きました。
消化器内科を専攻しようと決めたのはいつですか。
最終的に決めたのは初期研修2年目の夏です。もともと産婦人科希望でしたが、色々な科を回って、どの科でも充実した初期研修の日々を送っていました。初期研修が始まった頃は消化器内科を考えてはいなかったのですが、1年目の3月に消化器内科を回ったときに良かったので、2年目でも回らせていただいたんです。それから産婦人科と消化器内科で迷うようになりました。消化器内科の決め手になったのは豊富な手技があることが大きかったです。私は手を動かすことが好きなので、例えば血を止めるというときに「血を止めた」という結果が返ってくるところが良かったです。ほかに、消化器内科には多くの臓器があり、検査の種類もほかの科よりも豊富なことで、ずっと続けていけそうだなと思いました。また、手術でお腹を開けることなく、内視鏡でここまでのことができるのだというところにも惹かれました。
専攻医研修先を加古川中央市民病院に決めたのはどうしてですか。
産婦人科と消化器内科で迷い続けていたのですが、消化器内科に決めた時点で専攻医研修も加古川中央市民病院にしようと思いました。消化器内科に決めたのは初期研修で当院の消化器内科を回ったからですし、ここでお世話になったのだから、このまま続けたかったんです。そこは迷いなく決めたので、他院の見学にも行っていません。
専攻医研修はどのような内容ですか。
1週間のスケジュールが基本的には半日ずつ決められています。1週間の中で上部内視鏡検査が2コマ、下部内視鏡検査が2コマ、救急当番が2コマのほか、2週間に1回、外来を担当しています。その合間に自分の患者さんのERCPなどの特殊な内視鏡検査も入ってきます。ただ緊急の多い科なので、スケジュールが大きく変わることもあります。救急当番は消化器内科の患者さんのみです。開業医の先生方から「消化器疾患の患者さんを診てください」という電話がかかってきたり、救急外来に消化器疾患の患者さんがいらしたら、救急科から直接コンサルトを受けたりします。
専攻医研修で特に勉強になっていることを教えてください。
毎日が勉強ですし、大変です。内視鏡は何度やっても、先が見えないぐらいの種類があります。上の先生方を見て勉強になるのは手技はもちろんですが、患者さんにどういうふうに人生を左右するような重い検査結果を説明し、診療していくのかといったことですね。
当直の体制について、お聞かせください。
変動はありますが、普通は月に3回、多くても4回です。専攻医は一人で、内科全体の当直をします。これに初期研修医がつく形です。循環器内科は独立して、循環器当直がありますし、ICUにも外科系の医師がいます。急変のときに一人で手に負えなかったら、循環器の先生が一緒に診てくださるのが心強いです。循環器当直につく初期研修医もいます。産婦人科と小児科も当直しますが、ここを回っている初期研修医がいれば一緒に当直します。専攻医になってすぐの頃は緊張しましたが、私は初期研修も当院だったので、割と何とかなりました。初期研修と同じ病院で専攻医研修すると、知っているスタッフも多いので助けていただきやすいのですが、専攻医研修から当院に来た先生方は慣れるまでは大変のようでした。
指導医の先生方のご指導はいかがですか。
私が初期研修からそのまま当院で研修すると決めたぐらい、優しい先生方ばかりです。科を決めたときもそうですが、今も色々な相談に乗っていただいています。手技に関しても、私がするときには必ず担当の先生が入ってくださるので、何か困ったら相談したりしています。検査は厳しく指導されるので、へこむこともありますが、育てていただいている実感があります。
内視鏡の指導は手取り足取りという感じなのですか。
最初は胃カメラ、次は大腸カメラと、一人では何もできない状態から始めました。専攻医1年目までは胃カメラ、2年目までは大腸カメラに入るときは絶対に指導医の先生との2人体制で見ていただきます。専攻医3年目になると、一般的な検査には一人で入りますが、特殊な検査のときは指導医のどなたかに一緒に入っていただいています。
病院に改善を望みたいことはありますか。
当院にというわけではないのですが、今の専攻医研修制度では外部の病院に必ず出ないといけません。ただ、検査などの手技が成長しかけているときに病院を変わると、一段降りたところから再び研修しないといけないのが少しもったいないと感じます。私は専攻医1年目の後半から2年目の前半にかけて、神戸赤十字病院と公立宍粟総合病院に半年ずつ行きました。この研修先は自分の希望を調査してもらえるのですが、同じ病院を複数の専攻医が希望すれば、自分の希望どうりいかないこともあります。最終的にはどちらの病院でもよくしていただき様々な経験を積めましたが、診療そのものではなく、カルテ業務やちょっとした検査の方法などの変化に慣れるまでが大変でした。自分の方法が確立していない時期に病院を変わるのは辛かったですね。しかし公立宍粟総合病院では高齢の患者さんが多く、高齢ながらとても元気な患者さんもいらしたり、違う世界を見られて、力をもらえました。外の病院に行くシステムは良いものなので、もう少し成長してから行きたいです。
初期研修医の指導にあたって、気を付けていることはありますか。
初期研修医の時は誉められることで嬉しく、やる気になったことが多かったので、何かの指導のときにはいいところを一つ伝えてから指導するようにしています。
カンファレンスはいかがですか。
一つはどちらかと言えば初期研修医向きのもので、担当している症例をプレゼンするカンファレンスが週に1回あります。時間があれば、専攻医もプレゼンします。もう一つは症例カンファレンスが週に1回あります。診断に難渋した画像や経過を挙げて、どんな疾患であったかを当てたりするもので、このカンファレンスがとても勉強になっています。また、消化器内科と消化器外科の合同カンファレンスもあり、手術するかどうか迷うような症例はこのカンファレンスに挙げて、話し合っています。
コメディカルのスタッフとのコミュニケーションはいかがですか。
皆さん、優しいですよ。看護師さんも優しく頼りっぱなしですが、消化器内科の内視鏡検査では消化器内視鏡技師さん、透視検査では診療放射線技師さんに接する機会が多く、専門性の高い皆さんに教えていただいています。皆さんのお話を聞かせてもらいながら勉強させていただいている毎日です。本当に働きやすい環境だと思います。
何か失敗談はありますか。
毎日が失敗の連続です(笑)。ただ「やってしまった」というところまではいかず、何か間違った診療をしかけていると、上の先生方が「何をしているんだ」とすぐに止めに入ってくださいます 。
専攻医研修と初期研修の違いはどんなところにありますか。
専攻医になると、人の一生に関わる責任感や遣り甲斐を感じます。研修医の時は入院中だけ、検査中だけとどうしてもなるので、患者さんとの 関係性がそこで終わってしまいます。でも消化器内科はがんの患者さんが診断・治療の過程で入退院を繰り返したり、外来にもいらっしゃるので、長く関係性が続いていきます。がんの患者さんはやはり多く、指導医の先生に教えていただきながら、何とか診療を模索しているところです。お看取りも人生に関わる大切な仕事なのだと思っています。
研修医同士のコミュニケーションは活発ですか。
専攻医1年目のときは初期研修から引き続き当院にいた人たちが多かったのですが、今は少ないです。でも消化器内科には初期研修から一緒の同期がいるので、何かあれば相談しやすいです。ほかの病院で初期研修をした同期も2人いますので、同期は私を含めて4人です。手技の取り合いがないわけではありませんが、互いに切磋琢磨して毎日過ごしています。初期研修医と違って、専攻医専用の部屋はないのですが、消化器内科は院内でも医師数の多い科で一大集団みたいになっていますので、医局での居心地も良いです(笑)
今後のご予定をお聞かせください
明確には決めていませんが、当院でもう少し修行してから、先のことを考えたいです。先輩方が3年をかけて成長されていった姿を拝見していたのですが、先輩方が専攻医3年目のときと比べると、私はまだまだです。内科専門医試験を来年、受験しますが、来年は当院で過ごしたいです。
現在の臨床研修制度について、ご意見をお願いします。
各科をローテートするのはとても良い制度だと思います。大学でのポリクリで見たことと実際に働いてから感じることは大きく違いますので、それが将来、専門とする科を決定するにあたっても影響して志望が変わることもあります。また、自分が専門とする科だけを研修すると、他科にコンサルトするときに何をどうお願いするかもわからず困ります。ローテートして、色々な科のことを知っておくことが大事ですし、きます。
専門医制度についてもご意見をお願いします。
内科の専門医制度は大きく変わりました。外部の病院に行くプログラムをもう少し柔軟にしてほしいということと、総合内科的な視野を身につけるという趣旨は賛成なのですが、ほかの科のマニアックな症例をわざわざ探したりするのが大変です。レポート作成は勉強になるので、苦ではありません。「柔軟に」という点に尽きますね。
これから専攻医研修の病院を選ぶ初期研修医にメッセージをお願いします。
最終的には自分次第で、自分の道を切り開けるのであれば、どこの病院でも大きく変わらないかもしれません。ただ、ご自身が検討している病院がどんな環境なのか、自分が取り組みたい分野をしっかり学べるところなのかを見てから決めましょう。今の私が実感しているのは若い医師が多く、活発な病院の方が刺激もあるし、困ったときも相談しやすいです。若手医師が大勢いて、和気あいあいと研修できる病院はお勧めです。