初期研修インタビュー

2022-10-31

中濃厚生病院(岐阜県) 指導医(初期研修) 勝村直樹先生 (2022年)

中濃厚生病院(岐阜県)の指導医、勝村直樹先生に、病院の特徴や研修プログラムについてなど、様々なエピソードをお伺いしました。この内容は2022年に収録したものです。

中濃厚生病院

〒501-3802
岐阜県関市若草通5-1
TEL:0575-22-2211
FAX:0575-24-7139
病院URL:http://www.chuno.gfkosei.or.jp/

勝村先生の近影

名前 勝村 直樹
中濃厚生病院 副院長、診療統括部長、内科部長 指導医

職歴経歴1960年に岐阜県加茂郡川辺町に生まれる。1986年に岐阜大学を卒業後、岐阜大学医学部付属病院、岐阜赤十字病院で研修を行う。1988年に中濃厚生病院に内科医師として着任する。1995年に中濃厚生病院消化器内科部長に就任する。2010年に中濃厚生病院副院長を兼任する。2015年に中濃厚生病院内科部長を兼任する。 日本内科学会認定医・指導医・総合内科専門医、日本消化器病学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本肝臓学会専門医・暫定指導医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医・指導医、日本がん治療認定医機構暫定教育医・がん治療認定医、日本緩和医療学会認定医、臨床研修指導医など。

中濃厚生病院の特徴をお聞かせください。

岐阜県関市にある病院です。岐阜県は医療圏が5つに分かれており、関市は中濃医療圏に属していますが、この中濃医療圏は面積が非常に広いです。当院は中濃医療圏の中でも関市、美濃市、郡上市といった長良川沿いの住民の健康を担うという立場で、この地域の中核病院として機能しています。三次救急指定病院ですので、ICUや救命救急センターを併設しており、各診療科も揃っています。地方の病院ではありますが、常勤医師も120人ほど在籍し、日々忙しく一次から三次までの診療に当たっています。

勝村先生がいらっしゃる消化器内科についてはいかがですか。

内科の中でも医師数、患者数ともに多く、積極的に診療しています。若い専攻医から中堅の医師まで幅広い年齢層の医師が働いており、活気のある領域で活動しています。

中濃厚生病院の初期研修プログラムで学べる特徴について、ご紹介くださいますか。

厚生労働省が必修としている科目を最低限のものとして1年次、及び2年次で済ませ、2年次の約10カ月は自由選択となっていますので、自分でプログラムを組み立てることができることが特徴です。患者さんの数も多いですので、プライマリケアを学ぶには最適な環境ですね。初期研修医がなるべくファーストタッチできるよう、2年次では日直や当直のとき以外でも月に何回かは午後の緊急患者さんのトリアージをします。また、各科での研修は4週ごとのローテートになっていることが多いのですが、ローテート先が変わっても、受け持っている患者さんが退院するまで担当医として完結して診ることも特徴です。

自由度の高さについてはいかがですか。

2年次は約10カ月が選択期間ですから、かなり高いと思います。

初期研修医の人数はどのくらいですか。

定員は1学年10人で、2022年度は1年目が12人、2年目が8人です。ローテートが4週ごとということを考慮すると、12人ぐらいまでが良いところかなと感じています。

先生の研修医時代はいかがでしたか。

私の頃は今のような制度ではなく、多くの人が大学の医局にストレートに入っていました。ローテート研修をしたくて、ほかの病院に行った人もいましたが、私は岐阜大学の第一内科にストレートに入りました。第一内科は消化器、血液、神経などを扱っている医局で、色々な疾患をかなり手広く診ていました。私も広くジェネラルに診られる医師になりたいという意識はあったので、第一内科で様々な勉強をしました。それから関連病院に1年ほど出て、また大学に戻り、少ししてから当院に赴任しました。

なぜ消化器内科を選ばれたのですか。

消化器内科は範囲がかなり広いんです。胃、食道、腸、大腸といった管のところもあれば、肝胆膵もあります。幅広く患者さんを診られるし、検査の手技もまだ分かっていないことも多かったので、遣り甲斐がありました。当院では消化器内科一般を診ており、肝臓のアンギオ、ラジオ波に加え、ESDやERCPも行ってきました。最近は後輩が随分と育ってきたので、私が現場の第一線に立つようなことはありません(笑)。

「こんな研修医がいた」というエピソードがあれば、お聞かせください。

自分から進んで、主体的に勉強する研修医は見ていて楽しいですし、嬉しいですね。そういう研修医は2年次になると後輩の面倒をしっかり見るだけでなく、ほかの研修医が撮ったCTのフィルムまで見て、ダブルチェックしてくれるんです。見落としがないか、あとで気づいたことを教えてくれるといったことを自分から進んで行っていた研修医は忘れられないですね。

指導される立場として心がけていらっしゃることを教えてください。

患者さんあっての医療ですので、とにかく患者さんのところに足繁く行くこと、患者さんから学べることがあることを肝に銘じてやってほしいと思っています。同じ疾患でも、患者さんのニーズは違いますし、患者さんのニーズが同じでも、背景はそれぞれ異なります。患者さんごとのナラティブ、物語があるはずですので、そういったところに共感する心を持つことの大切さをオリエンテーションで話し、その後も指導しています。

勝村先生の写真

最近の研修医をご覧になって、どう思われますか。

十人十色と言うように、それぞれですね。こちらから言わないとなかなか動けない大人しい人もいれば、一つ言えば二つ、三つ先のことまでしてくれる人もいますので、指導医はそれぞれに応じた声のかけ方を考えないといけないなと思っています。ただ、総じて大人しい人が多いという印象です。

研修医に「これだけは言いたい」ということがあれば、お聞かせください。

生活の糧を得るための仕事をするというのではなく、患者さんから感謝していただくことが自分の感動、日々の仕事へのエネルギーやモチベーションに繋がることがあります。そういう医療をして、患者さんから感動をもらい、患者さんにも感動を与えて、感動のやり取りができる医療をすると、自分も遣り甲斐と誇りを持って仕事ができます。そういう感動の体験を是非、研修医のうちに一つでも二つでもしてほしいなと思っています。

現在の臨床研修制度についてのご意見をお願いします。

悪いわけではないのですが、プライマリケアを2年かけて学んでも、専門医になると、それがあまり活かせていない場合が多いです。結局、卒後10年、15年経った医師は自分の診療科の患者さんだけを診る形になるので、その診療科の主力となれた能力をもう少し活かせるような制度設計があるといいですね。

新専門医制度についてのご意見もお願いします。

この制度も軌道に乗っているという段階には全く来ていません。私は内科の専門研修プログラムの統括委員長も務めていますが、多くの専攻医はサブスペシャリティを決めて、そこにエネルギーを注ぎたいと入ってくるのに、そこで自分の専門領域以外の領域に身を入れて学べるのかというと、なかなか難しいです。形のうえでは症例やレポートを出さないといけないのですが、実際は初期研修のときの症例を半分ぐらい使ったりすることもありますので、内科をより深めていくという理想にはなっていない状況です。ほかの病院からレポート審査も回ってくるのですが、きちんとプロブレムを立て、それに基づいて書けているレポートは少ないです。忙しくて、手が回らないのでしょうね。こちらもレポート一つでも、きちんと指導しようと思うと、1枚につき1時間はかかりますので、指導医も大変です(笑)。

これから初期臨床研修病院を選ぶ医学生に向けて、メッセージをお願いします。

これから医師として医療を行っていくうえで大事なのは共感する力だと思います。当院の初期研修ではそういったところを学べますし、利他の心で感動を経験し、この先の長い医師生活の基本を身につけていただけたらと願っています。